3Dホログラムとは?特徴や三次元映像が出現するしくみ

2020/04/07

3Dホログラムとは、物体が目の前にあるかのように、「立体的な映像を映し出す」技術のことです。3D映像を何もない空間に投影し、まるで本物が目の前にあるかのように見せます。一般的な3D映像では、「正面」からしか映像が立体的に見えませんが、3Dホログラムでは「側面や背面」からも、本物同様に立体的な映像を見ることが可能です。3Dメガネは不要で、誰でも肉眼で立体映像が見られます。

3Dホログラム

3Dホログラムの特徴

正式的には「浮かび上がる立体映像」が3Dホログラムではありません。光の情報を記録する「ホログラフィ技術」を使用して3D投影をするのが、3Dホログラムです。「肉眼で」「どの角度からも自由自在に見られる」「立体的な映像」を映し出します。

 

最近では、3Dホログラムと呼ばれるものも増えてきましたが、見る角度に制限があったり、メガネを必要としたりと、本来の3Dホログラムの定義からかけ離れた技術も多く存在します。3Dホログラムと呼ばれるには「どのように見える」だけでなく、「どのように映像を記録・再生しているのか」もポイントです。この記録・再生方法によって、将来活用できる幅も異なります。

 

3Dホログラムの場合は光の振幅(強さ)、光の波長(色)、光の位相(周期運動の位置)の3点を記録・再生しています。特に「光の位相(周期運動の位置)」を記録・再生できるのが3Dホログラム最大の特徴であり、立体映像の投影を可能にしているポイントとなっているのです。

 

3Dホログラムの仕組みと再生方法

ホログラムは「物体」のことであり、ホログラム映像をつくりだす技術を「ホログラフィ」と呼びます。例えば1万円札や5,000円札の左下にある、3D効果を使ったキラキラと輝くものも「ホログラム」であり、そのキラキラをつくる技術が「ホログラフィ」となるのです。

ホログラフィ技術の仕組みを知ることで、3Dホログラムが立体的に見える仕組みを知ることができます。

 

3Dホログラムの仕組み

光には多くの情報が含まれており、私たちは光が物体に反射して目に入ってきた情報で、物体を認識することができます。例えば目の前に「りんご」があった際に、りんごに当たった光の反射光が私たちの目に入り、その光の振幅(強さ)や光の波長(色)の違いで、「これはりんごだ!」と認識できるのです。

 

ホログラフィ技術は、「物体光(この場合りんごから反射した光)」と「参照光」と呼ばれるレーザー光を感光媒体に照射して、その二つの光が干渉した際に発生する「干渉縞(かんしょうしま)」の情報を感光媒体に記録します。この干渉縞には、光の振幅(強さ)、光の波長(色)、光の位相(周期運動の位置(光が移動してくる方向))などの情報が含まれているのです。

 

一般的な映像の記録が光の振幅(強さ)、光の波長(色)だけであるのに対して、ホログラムでは光の位相(周期運動の位置(光が移動してくる方向))も記録をされるので、立体的な映像として感光媒体に記録をされます。

 

3Dホログラムの再生方法

干渉縞の情報が記録された感光媒体に再度「参照光」を照射すると、記録された情報が再生されます。これにより、私たちの目に記録されていた光の情報が入り、立体映像として認識されるのです。

 

ホログラム映像の再生には、振幅、波長、位相の3つの光を記録・再生できる高度な機械が必要となります。その為、現在でも3Dホログラムよりもそれに似た映像表現技術が使われることも多いです。

 

3Dホログラムに似た技術

立体映像を映し出す、3Dホログラムに似た技術は他にもあります。いくつか代表的なものを見ていきましょう。

ペッパーズ・ゴースト

ペッパーズ・ゴーストは、別の空間にある物体に光を当てて、光の反射と半透明鏡(ハーフミラー)を活用して立体映像を映し出す技術です。

舞台などで古くから活用されてきた、視覚トリックになります。

立体的映像を映し出すことが可能ですが、正面以外からは立体としてみることができない為、完璧な3Dホログラムとはなりません。

 

ボリュームディスプレイ

ボリュームディスプレイは「3次元を空間に表示させる」技術です。3Dホログラムは3次元映像を映し出すものですが、ボリュームディスプレイは「映像自体が3D」となっています。立体映像を肉眼で見られる点は3Dホログラムと同じですが、若干コンセプトが異なります。

 

ファン型LEDディスプレイ

LEDライトのついたファンを高速回転させることで、立体的な3D映像を映し出すことができます。3Dホログラムのように、空間に映像が浮き上がって見えますが、記録・再生方法が異なるため、3Dホログラムとは別の技術です。

 

3Dホログラムまとめ 

3Dホログラムとされるには、「位相情報の記録」「記録時と同じ参照光の照射」が必要です。この二つの条件に該当してこそ、完全な三次元映像の投影を可能にする「3Dホログラム」となります。3Dホログラムは、1947年に物理学者のガーボル・デーネシュによって発明をされてから73年もの間、研究がされてきました。まだまだ研究が途中なところもありますが、今後の進歩にさらに期待ができそうです。

 

 

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